「……信じられません」
私はあるものを見ながらため息をつきます。
あ、ご紹介が遅れましたね。遠野 翡翠です(はぁと
何でため息をついてるか、もう大体の人はお分かりでしょう。
そう、人気投票です。
今更なんて言ってはいけません。これは只事ならぬ事態です。
私が6位? 何故私がツインテールとカレー好きごときに負けたのでしょう?
……多分私が負ける要素といえば一つしかありません。
それは同情票です。どちらかといえば幸せ者の私にはこの票数は他の方々と比べ少ないですし。
具体的に述べますと弓塚様は、
シナリオがいまだに作ってもらえない+本編で報われない+そのほかの作品でも活躍の場がない
という同情票。
シエル様は、
印象がいまいち薄い+所詮便利キャラという感じで扱われる+カレー
という同情票。
秋葉様は、
本編では幸せなENDがない+胸がない+胸がない
という同情票。胸がない点は二つ分あるでしょう。
とまあこんな感じです。アルクェイド様は認めたくはありませんがこの話のヒロインですし、活躍の場も多いですし、TOPなのは仕方ありませんが……
今回のポイントはやはり姉さんです。
何故2位をとったのか。あのキャラクター性もあるのでしょうが、まず、コスプレが受けたと考えて間違いありません。
私ももしメイド以外のコスプレをしていればツインテールとカレー好きごときに負けることなんてありえなかったのです!
私の場合、反転衝動させられて、暗黒翡翠拳なんてものをもたされて、同じ姿のメカを登場させられてと人気に対するマイナス要素ばかりでしたから。
さらにコスプレさえすれば志貴様の目も確実にこちらに向きます。前回の裸エプロンもそれなりに効果はあったようですし、それに、志貴様さえ手に入れられれば人気など必要ありません!
そうです、人気よりも志貴様です! そのために私はまたコスプレに挑戦します。
『翡翠、(もっと)頑張る』
そしてその決行日がいよいよやってきました。とはいえ、このことを考え付いたのがつい昨日のことでしたけど。
用意するものは前回とは違って普通の店では売っていないので、仕方なく専門店に向かうこととなりました。一つは別に大型スーパーにならあると思うのですが、そこはリアル性というものがありますし。
何せ今回のは姉さんや、果ては人気投票第一位のアルクェイド様もやったことのあるものです。人気にあやかってというわけではありませんが、やはり王道は一番効果があるゆえに王道であるということでの挑戦です……もうお分かりになった方もいるのではないでしょうか。
今回のはインパクト勝負ということで、朝から既に準備は万端です。
いつものように志貴様を起こし、そこで私の格好に気づいた志貴様が自分の欲望を抑えきれなくなり、そしてそのままベッドに連れ込んで……
〜妄想〜
『志貴様! おやめください!』
『そう言いながらもこうされることを望んでるんだろ? 格好がそのことを証明しているさ』
『そっそれは……(照』
『ほら、やっぱりだ』
『で……ですがそんなことをしていたら学校が!』
『いいよそんなもの。学校よりも……翡翠さ』
『志貴様……』
完璧です! これで志貴様は私のものです!
……はっ、いけませんいけません。つい興奮しすぎて表情が出てしまっています。
あくまでも寡黙に、そして冷静な表情で。それが姿とのギャップを生み出して志貴様は……(恥
……はっ! 今は辛抱です私! この作戦が成功すればいくらでも志貴様とラブラブできるのですから!
「……そろそろ起こしましょうか」
もう一度妄想の世界に入る前に私は志貴様を起こすことにしました。
「志貴様、起きてください」
いつものように声だけでは起きる様子を見せないので、体を揺すりながら起こします。
起きないのをいいことに男にしかないあの部分もこっそりさわっているのはここだけの話です(恥
しばらくして、志貴様の体がピクリと反応しました。これは起きるという合図です、私はすばやく手を体から離します。
「ん……」
志貴様はまだ眠いのか目をこすりながら横になったままで私の方に顔を向けます。
「翡翠おは……」
目を開けたとたん、志貴様は固まってしまいました。
フフフ、やはり志貴様は唖然としてますね。
何せ今回の格好は王道のネコミミ! さらにそれに志貴様の学校の制服を加えているのですから。
これならネコミミ萌え〜な方も、制服萌え〜な方も両方OKという強力な組み合わせです!
「ひっ翡翠……」
志貴様は目をシロクロさせています。眠気も吹き飛んでしまったようですね。
今回もあのシリーズの作品である『新妻ラブラブSTORY〜動物の気持ち、学生の気持ち〜』が参考になりました。こちらの方では夫の方が乗り気なのですが……私たちもそうなるといいです。
おっと、ここで志貴様に対する追加攻撃を忘れてはいけません。さらにここでいつものこの台詞を言います。
「志貴様、おはようございます」
「おっおは…おはよう」
こうして深々とお辞儀をします。シロクロさせていた目が回復するとすぐに熱がこもり、せわしなく視線が頭で揺れる耳や制服のスカートから覗く太ももを舐めるように見詰めています。
どうやら眠気と同時に理性も吹っ飛んでしまったらしく、さらにふらふらと手が私の方に近づいてきました。
さあ、志貴様。そのままベッドに連れ込んで朝から私とラブラブな関係を築いてください(照
「……ひっ翡翠」
さあ、私のところまで あと少しですよ志貴様、決して逃げたりしないので安心して捕まえてください♪
もう少し、あと5cm、4、3、2、1・・・・・・
バタン!
「翡翠ちゃん、秋葉さまが起こすのが遅いって……」
もう少しで志貴様の手が私の胸に触れる。そんな瞬間になんと、姉さんが来てしまったのです。
「あっ、琥珀さん……」
志貴様がわれに返ってしまいます。別に姉さんが見ながらでも構わなかったのですが……姉さんもあきらめがつくと思いますし(ニヤソ。
「姉さん、これは……」
私たちはこれから愛を育むんです。邪魔さえしなければ見ていても構いませんので、絶対に邪魔だけはしないでください。
そう言おうとしたときでした。
「……萌えー!!」
「「えっ?」」(翡翠&志貴)
姉さんはそう叫ぶと、目にも止まらぬ速さで私を捕まえます。
……すっかり忘れてました。姉さんは多少レズっ気もあるので、この格好は姉さんにとっても効果は抜群ということで……恐ろしい光景が目に浮かんできます(汗
「志貴さん、翡翠ちゃんはあずかります! 秋葉さまには急な用が出来たと伝えておいてください!」
「あっああ……」
志貴様も突然の出来事にどうしていいか分からず、つい了承の返事をしてしまいます。
志貴様、唖然としてないで助けてください!
「翡翠ちゃ〜ん、今日は寝かさないからねえ〜♪」
「寝かさないってどういうことですか!?」
私のつっこみも無視して姉さんは自分の部屋に私を引っ張っていきます。
いつの間にか既に制服の中を手がまさぐっていますし(汗
ああ……志貴様が遠のいていく……。
どうやら今回も失敗のようです……(涙
次回こそ! 志貴様と(ピー)して(ピー)して(ピー)してみせます!!
……その前に姉さんの攻撃に耐え切らなくては……(汗
終わり