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「…好きなんだ」
「えっ…それって」
「恋してる、って方の、好きだ」
ある秋の日の放課後、僕は来ヶ谷さんに告白された。


「待ってたよ来ヶ谷さん」
「約束、だったからな」
僕達の修学旅行の後、お互いに、気持ちは通じていたのは分かっていた。
だけど『きっちりけじめを付けて君と付き合いたい』と、来ヶ谷さんに言われていたから僕は、その意思を尊重した。
そして今、ようやく僕と来ヶ谷さんは本当の恋人同士となった。
この話はそんな僕達の騒々しい毎日の中の一ページ。



『唯湖・ザ・スタンピート』  〜甘えん坊唯ちゃん暴走記〜


 「〜♪ 〜♪ 〜♪」
「うわっ、ちょ、来ヶ谷さん、いきなり抱きつかないでよ」
「いやだ。理樹君分を補充しないとならないからな、休み時間は短いんだ。1ナノセカンドすら惜しい」
「いや理樹君分って、普段から補充してるじゃない」
最近、今まで以上にスキンシップをしたがる来ヶ谷さん。
今も僕の膝の上に乗って、しなだれかかっている。
「何を言う? そんなもの一時間の授業であっさり枯渇してしまうんだ。適度に補充しないと精神が持たない」
「うわぁ、物凄く燃費悪いね」
「だが、授業中は我慢しろと君が懇願するから、自重してるんじゃないか。それとも、私とのハグハグは嫌か?」
「そう言う訳じゃ無いけどさ」
「だったら、おとなしくおねーさんの体を堪能してろ」
「いや、ちょっと、そんなに体を擦りつけないで」
頬とか胸とかを、僕の体にすりすりと擦りつけてくる来ヶ谷さん。
気持ち良いし、良い匂いがするけど、流石に教室だと素直に喜べない。
「ん〜? 単なるマーキングだ、気にするな」
「いや、マーキングって」
「理樹君が私の物で、私は理樹君の物だ、という証を立てているのさ」
「そんな犬や猫じゃないんだし」
「ふむ、犬のマーキングと言えばおしっこだな。はっ! まさか理樹君は、私におしっこをかけられたいのかっ!?」
「誰が、んな事言ったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」
「では、私におしっこをかけたいのか? それはちょっとマニアック過ぎないか?」
「な訳あるかぁぁぁぁぁぁぁっ!」
「理樹君が望むなら、それも受け入れようと思う。だが、もう少し時間が欲しい」
「絶対ないから」
最近はずっとこんな調子だ。正直ツッコミに疲れます。
「ん? 私は理樹君に、性的に突っ込まれるのは大歓迎だぞ?」
「人の心読まないでよ」
「はっはっは、理樹君は愛しいなぁ」
そして、来ヶ谷さんの言うマーキングが再開される。あ〜、僕の理性かなりヤバイかも?
「おい、おまえらっ!」
そんな時、意外な人物から静止の声が掛かった。


 「来ヶ谷、おまえちょっと、理樹にくっつき過ぎだ」
鈴が、僕と、来ヶ谷さんに向かって怒る。
「鈴君、そう言わないでくれ、君や恭介氏達は、10年近くも理樹君と一緒に居たんじゃないか。私にちょっとくらい譲ってくれても良いだろう?」
「そーかもしれないが、なんか、もやもやしていやじゃ」
「そうか、鈴君は、私と理樹君がいちゃいちゃしてるから、やきもちを妬いているのだな?」
「そ、そそそそんな事あるか、ぼけぇぇぇぇぇぇっ!」
「いやいや隠さなくても良い、だが私としても、理樹君の恋人として、譲る事はできんのだ」
「違うって言ってるだろー、ふかーっ!」
そう言うなり鈴は、僕たち目掛けて飛び蹴りを仕掛けてきた、あ、今日の鈴って
「うむ、見事なまでの純白ぱんつだな。鈴君らしくて実に良い」
「見るなぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
怒りと恥かしさで、顔を赤くした鈴が、さらに蹴りを繰り出してくる。
「そんな大振りな蹴りをしたら、ぱんつが見える。と忠告したのに聞かないからだよ」
あっさり見切って、鈴の攻撃をかわす来ヶ谷さん。
「理樹君を巡ってならば、相手をしないわけにもいかんな、かかって来いっ、鈴君」
「ふかーーーーーーっ!」
そして始まる大乱闘。鈴の猛攻を、余裕を見せ、あえて紙一重でかわす来ヶ谷さん。
「ふふふっ、ぱんつ見放題だな。どんどん蹴ってくるが良い」
「ほざくなーーーーーーーーっ!」
「ははははははは、絶景かな、絶景かな」
煽られた鈴は、余計に大振りの蹴りになり、来ヶ谷さんの思うつぼになる。

しかし、ここでふと気付く。本来なら一番邪魔しそうな恭介や謙吾、真人が居ない。
「あれ? 恭介と真人と謙吾はどこ行ったんだろう」
「俺ならここだ、理樹」
「あ、謙吾。居たんだ」
「バトルが始まった頃からな」
僕の隣で鈴と来ヶ谷さんのバトルを眺めていたらしい。
「ねぇ謙吾、恭介と真人はどこ行ったの? いつもなら、一番最初に来ヶ谷さんに喧嘩売ってるはずなのに」
何と言うか、僕ですら引いてしまいそうな位、僕に執着してる恭介と真人は、しょっちゅう来ヶ谷さんに突っかかる。
いつも来ヶ谷さんに吹っ飛ばされてしまうんだけど。
『恋する乙女に、敵など居ないのさ』とは来ヶ谷さんの談。
「あぁ、恭介と真人ならあそこだ」
と壁を指差す謙吾。
「うわぁ〜」
そこには、エジプトの象形文字のような格好で壁に叩きつけられて、壁画と化している恭介と真人の姿が有った。
「休み時間のチャイムと同時に、来ヶ谷に蹴り飛ばされてああなったんだが、見て無かったのか?」
「あ〜、その時にはもう来ヶ谷さんに抱き締められてて、見えなかったんだ」
「そ、そうか」
来ヶ谷さんの早業に、冷や汗をかく謙吾。
「謙吾は良く無事だったね?」
「古来より、人の恋路を邪魔する奴は、馬に蹴られて死んでしまえと言うからな、恋人の逢瀬を邪魔するほど、俺は野暮じゃない」
ロマンティック大統領は健在だった!
「でもさー、理樹君が羨ましいなぁ、姉御にあんなに愛されてるんだもん、妬けちゃいますヨ」
謙吾の後ろから葉留佳さんが顔を出して言う。
「仲が良いのは良い事だよ〜」
「そうですね〜、リキは来ヶ谷さんに愛されてるのですね〜、ちょっと羨ましいです」
「仲良き事は美しき哉、少々行き過ぎの気もしますが」
今度は小毬さんとクドと西園さんのお茶会トリオ。
「もうちょっと、抑えてくれると助かるんだけどね」


 そんな事を言ってる間に、バトルも佳境に入ってきたようだ。
「うむ、鈴君のおぱんつも堪能させてもらった事だし、そろそろ決着を付けよう」
「出来るもんならやってみろーっ!」
「ならば、遠慮無く」
「ひゃあっ!?」
そう言うなり来ヶ谷さんは、鈴を背後から抱きしめた。
「鈴君、例え君でも、理樹君との直接ハグは認めるわけには行かない。だから、この理樹君との間接ハグで我慢してくれ」
「そんなの要るかぼけぇ〜〜〜〜〜っ!」
「ほらほら、さっき補充した理樹君分だ。たっぷり堪能したまえ、その分私は鈴君を堪能させてもらう、はぁはぁ」
「はーなーせーっ!」
「ほ〜ら、ふにふにふに〜♪」
「ふにゃあああああああああああああああっ!」
「あぁ、やっぱりこうなっちゃたか」
「まぁ、当然の結果だろう」
僕と謙吾は、それぞれ溜息をつく。
それから暫くの間、鈴は来ヶ谷さんの、抱き付き&耳ふにふに攻撃に晒された。


 「くるがやこわい、くるがやこわい、くるがやこわい、くるがやこわい」
「よしよし〜、怖かったね〜。もう大丈夫だよ〜鈴ちゃん」
鈴に新たなトラウマが植え付けられたらしく、目を虚ろにして、教室の片隅で膝を抱えてぶつぶつ言っている。
今は小毬さんが、そんな鈴を抱きしめて慰めている。
そして、僕はと言うと
「鈴君に理樹君分をおすそ分けしてしまったからな、再び補充だ」
この通り抱きしめられております。
「なんと申しましょうか、甘えん坊な飼い猫のようですね」
西園さんが、僕と来ヶ谷さんの様子を見て、そんな事を言う。
「成る程、それは良い例えだな。よし、今度ネコミミと尻尾を付けて『ニャン♪』と言ってやろう」
「いやいやいやいや」
でも、黒いネコミミと尻尾を付けた来ヶ谷さんは可愛いだろうなと、ちょっと思ってしまった。
「ん〜? 今私の猫コスプレを想像したな? 正直に言え、うりうり♪」
にやにやした来ヶ谷さんに、頬をつつかれる。
「あ〜ね〜ご〜、理樹君とばっかりいちゃついてないで、私とも遊んでくださいよ〜」
「なんだ? 葉留佳君も、理樹君との間接ハグをご所望か?」
「え゛っ? いやいや、そういう訳じゃ無いデスヨ?」

「何、遠慮するな、今日は特別サービスだ、しっかり堪能するが良い」
「ひゃわわわわわわわわわ〜、姉御許してぇ〜」
雉も鳴かずば撃たれまい。葉留佳さんは、この言葉を今すぐ覚えた方が良い。
今の来ヶ谷さんに、下手に声を掛ければこうなる事は、すぐ分かるはずなのに。
「ほう、葉留佳君。ちょっとバスト大きくなったんじゃないか?」
「やぁ、姉御ぉ、おっぱい揉んじゃ嫌ぁ〜、あぁ、ふぁ、ひぁぁん」
もはや公開羞恥プレイの領域だ。男子生徒の大半と、一部の女子が、悶絶している。
葉留佳さんは、来ヶ谷さんのセクハラ攻撃に、息絶え絶えになっていた。
「しかし、鈴君、葉留佳君だけに理樹君分を分け与えるのも不公平だな。良し、他の皆にもおすそ分けしてやろう」
とんでもない理屈をこねて、クド・小毬さん・西園さんに照準を定める来ヶ谷さん。
「わふっ?」
「ふえっ?」
「全力でお断りします」
三者三様で逃げようとするけれど、あっさり捕まってしまう。
「ああっ、極楽極楽」
「「「〜っ! 〜〜っ!! 〜〜〜っ!!!」」」
じたばたもがく三人をものともせず、恍惚とした表情で抱き締める来ヶ谷さん。
完全に彼女の独壇場だった。
「理樹、来ヶ谷の制御はお前の双肩に掛かっている。頑張ってくれ」
「うん、そうだね、頑張るよ。有難う謙吾」
「俺では何も出来そうに無い、すまん」
「気持ちだけでも嬉しいよ、うん」
「「はぁ〜〜〜〜〜〜」」
そう言って、二人で重い溜息をつく僕と謙吾だった。


放課後の放送室。僕と来ヶ谷さんは、二人きりでそこに居た。
「ねぇ、来ヶ谷さん。最近ちょっと変だよ?」
甘えてくれるのは嬉しい、だけどちょっと度が過ぎる。
そう思った僕は、そう切り出した。
「迷惑、だったか?」
目に見えてしゅんとした顔になる来ヶ谷さん。
「迷惑と言うより、恥かしいかな。僕だけなら良いんだけど、鈴達にまでは、やり過ぎだと思った」
嫌では無い事は伝える。
「私は、不安なのかもしれない」
「え?」
そう、ぽつりとつぶやく来ヶ谷さん。
「私は、あの繰り返される世界の中で、本来の役目を忘れ、君との永遠を望んでしまった、裏切り者だ」
「でも、それは来ヶ谷さんだけが悪い訳じゃ無いよ」
そう、あれは本当にどうしようも無かっただけの話。誰が悪いとか、そんな話になるのはおかしい。
あの世界で無茶をやったのは、来ヶ谷さんだけじゃないのを、僕はもう知っている。
「良いんだ、あの時は私が悪かったんだからな」 
「でもさっ!」
「だけど、理樹君、君はこんな私との約束を覚えていて、私を選んでくれた」
僕は、来ヶ谷さんとの約束を思い出し、来ヶ谷さんは、僕との事を約束を覚えていてくれていて、それで僕達は恋人同士になれた。
それは、奇跡でもなんでもなく、果たされるべき約束だったと、僕はそう信じている。
「それが今でも夢のようで、信じたいのに、信じられない。だから、少しも離れたくなくて、君の側に居たくて、君を側に置いておきたくて、
君の側に他の女の子が居るのが悔しくて、嫉妬からあんな行動をしてしまった。結局私は、何ひとつ変われていないのかもしれないな」
そう自分の想いを語りながら、自嘲する来ヶ谷さん。
「人に前を向いて進め、と説教しておきながら、私が、一番後ろ向きな行動ばかり取っている。とんだお笑い種だ」
僕は、馬鹿だ。
ここまで思い詰めさせる程、不安にさせていたなんて。

 
 「ごめん、来ヶ谷さん」
「理樹君っ!?」
僕は、来ヶ谷さんを強く抱き締める。
「何故、君が謝る? 君は何もしていないじゃないか?」
「僕も甘えていた、来ヶ谷さんと一緒に居られるって、その事に満足して甘えてた、唯湖さんがアプローチして
くれる事に甘えてて、僕からは何もしてない」
「理樹君」
「僕も教えられた事、全然実行出来て無いよ。だから、自分だけ頑張らないでよ」
「優しいな、君はいつも」
来ヶ谷さんも僕の背中に手を回し、抱き返してくる。
「僕は、いつも自信に溢れていて、セクハラと悪戯大好きで、でも僕の言葉に真っ赤になって照れる、そんな所が
誰よりも可愛い来ヶ谷さんが、大好きだよ」
「褒めてるのか、それは?」
「勿論だよ」
ぶすっとした顔をする来ヶ谷さんに、笑って返す僕。
「他の女の子と一緒に居ても、僕が恋愛をしたいのは、来ヶ谷さんだけだからね? それは信じて欲しいな」
「すまない、君の想いを疑っていた訳じゃ無いが、君はモテるから不安だったんだ」
「そうなの? 自分じゃ分からないなぁ」
「鈍すぎるのも罪だぞ? そんな調子じゃ、私はいつも嫉妬しなきゃならなくなるじゃないか」
「ごめんね、気を付けるよ」
「だから、好きなのは私だけ、という証拠が欲しい」
そう言って目を閉じる来ヶ谷さん。これってやっぱり。
「君からも動いてくれるんだろう? ほらほら」
僕もああ言っちゃった手前、引き下がるわけにはいかない。
「分かった」
来ヶ谷さんの唇に自分の唇を重ねる。
「んっ、んふっ、むっ、ちゅ」
キスって不思議だ、ただ唇を重ね合わせるだけなのに、凄く幸せな気持ちになれる。
「ふふっ、ありがとう理樹君」
キスをした後の、満面の笑みを浮かべた来ヶ谷さんがとても可愛くて、僕は。
「ごめん、もう一回良いかな?」
「随分積極的だな? 良いぞ、君が望むだけ、何回でもかまわない」
それから、何度も飽きる事無く、キスをして想いを確かめ合う僕達だった。


翌日の昼休み、来ヶ谷さんは、とんでもない事をしてくれました・・・・・・
「理樹君、君はいつも通りの私が好きだと言ってくれたよな?」
「うん、そうだけど?」
昼休み、放送室で来ヶ谷さんが作ってくれた弁当を食べ、一息ついていた時、いきなりそんな事を聞かれる。
「だから、私は、私らしいやり方で、皆に私の想いを知ってもらおうと思う」
「へっ?」
そう言うと、来ヶ谷さんは、放送用のマイクのスイッチを入れた。
「ただいま昼休み中の全校生徒に宣言する。2−Eの直枝理樹君は、同じく2−Eのこの私、来ヶ谷唯湖の生涯の伴侶だ! これに異論が有る者に対しては、
私はいつ、どこでも、誰の挑戦でも受けるっ! 命が惜しく無い奴はかかってくるが良い! 最高の悪夢を見せてやる」
「ぶーーーーーーーーっ!?」
この人最悪だぁぁぁぁぁぁっ! しかも台詞が某有名闘魂レスラーだ。
携帯電話での悪戯(恭介の携帯電話ジャック)でも使ってたけど、好きなのかな?

 「さて、頃合だな、逃げるぞ理樹君」
そう言って、僕の腕を引いて外に出る来ヶ谷さん。ちょうどそのタイミングで
「こらーっ、来ヶ谷さん、放送室の機材を、個人目的で使うなんてどういうつもり? しかもあんな事放送するなんて!」
「流石に速いな、佳奈多君。しかし、私を捕まえるには、速さが足りないな、はっはっはさらばだ!」
「お待ちなさいっ! しっかり反省してもらいますからねっ」
風紀委員を連れて、猛スピードで追いかけてくる二木さん。顔が凄く怖いです。
「「ちょっと待て来ヶ谷ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ、理樹は渡さねぇぇぇぞぉぉぉぉぉっ!」」
「お前達も、良い加減、理樹離れしたらどうだ?」
「「五月蝿ぇっ!」」
「やれやれ、だな」
怒鳴り声に後ろを振り向くと、真人と恭介が、必死の形相で追いかけて来る。それに呆れた顔で付き合う謙吾も居た。

「おーい、鬼ごっこならはるちんも混ぜろ〜」
「くるがや〜、昨日のふくしゅーだっ! あたしの蹴りを喰らえぇぇぇぇっ!」
「鈴ちゃん、やめとこうよ〜」
「わふ〜、リキと来ヶ谷さんの、愛の逃避行なのです」
「走るのはあまり好きじゃ無いのですが」
恭介達の後ろから、葉留佳さん、鈴、小毬さん、クド、西園さんが追いかけてきた。
「はっはっは、楽しいな理樹君」
「もうちょっと自重してよぉぉぉぉぉぉっ!」
「それは無理だな」
「即答っ!?」
抗議こそするものの、この状況を内心楽しいと思ってる僕も、大概良い根性してると思う。
本当にとんでもない人を、恋人に選んでしまった気がする。これから何度も振り回されるであろう事は、想像に難く無い。
だけどそんな、何をやらかすか分からない部分も、僕は好きになっちゃった訳で。
だから、この我侭で、セクハラと悪戯が大好きで、照れた時が、誰よりも可愛いこの人と、とことん付き合って行こう、そう腹を括る事にした。

「理樹君、私にここまでさせた責任、ちゃんと取って貰うからな?」
「来ヶ谷さんを好きなった時点で、覚悟はしてるよ」
「期待しているぞ?」
「うん。まぁ、取りあえず、今は逃げよっか?」
「異論は無いな」
僕達は、顔を見合わせて笑った後、手をつないで駆け出した。


 その後、来ヶ谷さんのあの宣言は、『来ヶ谷唯湖の理樹君は、俺の嫁宣言』と言うとんでもない名前で広まった。
そして、僕達は、校内一のバカップルに認定され、校内で常に噂される存在となる。
僕達のいつものやりとりも、既に夫婦漫才のような物として認識され、クラスメートの娯楽の一つになってしまった。
また、吹っ切れた来ヶ谷さんの甘えん坊っぷりは、治るどころか、更に悪化しちゃった事も追記しておく。
「ほらほら、理樹君、ちゅーしよう、ちゅー」
「ちょっ、来ヶ谷さん? んむっ、ん〜!?」
クラスメイトの見守る中、唇を奪われる僕。
「ふふふっ、理樹君大好きだぞ♪」
来ヶ谷さんは、そう言って笑顔で僕に抱き付く。
僕はしょうがないなぁと思いながらも、愛しい人の抱擁を受け入れた。



お・し・ま・い