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理樹は宿題をやっていた。

今日出された課題をやっていた。

すると突然メールが来た。

そのメールの内容を見て、理樹はあることを思いだす





『第5話 夜の学校潜入ミッション』





真人「なぁ理樹」

理樹「ど、どうしたの?真人」

勉強中、いきなり口を開いてきた真人に、理樹は一瞬ためらった。

真人「今日の宿題って、本当にこれだけだったか?」

理樹「たぶん、数学と国語だけだったと思うけど」

どうやら真人は、今日の宿題に関してのことを聞いていたらしい。

相変わらず理樹のノートを隣で写しているだけなのだが。

理樹「他に、何かあったっけ?」

真人「ほらよ、何だったけか?その・・・あっ!思い出したぜ!!」

理樹「え?何が?」

いきなり大声をあげたので、さすがに今回ばかりは理樹も驚いた。

真人「そういえば、まだオレは筋トレという宿題を済ませてなかったぜ!!」

理樹「・・・それ、真人だけの宿題でしょ」

やっぱり真人は真人だなと理樹が感じたその時だった。

(ピリリリリ)

真人「ん?理樹、携帯が鳴ってるぜ」

理樹「あっ、本当だ」

理樹の携帯から着信音が流れてきた。

それはメールの着信音だったらしく、誰からきたものなのかを確認する為に、

理樹は携帯を開けた。

すると、そのメールの送信者は・・・。

『タイトル:なし

   本文:さっき思いだしたのだが、学校に理樹のらしき辞書が

      置いてあったぞ。

      そんなんじゃ、今日の英語の宿題が出来ないだろ。

      鈴より』

鈴だった。

どうやら理樹の辞書らしきものを見つけたのだが、確信には至らず、

そのまま置いて行ったとのことだ。

理樹「辞書・・・?あっ、そういえば、辞書を学校に置きっぱなしだ!」

真人「ていうかよ理樹。うちの英語の先生って、宿題忘れたら減点10じゃなかったっけ?」

理樹「そういえば、今日の英語の宿題って、文を訳せっだったっけ・・・」

真人「辞書がなきゃできないことだな」

真人にしては珍しい物言いをする。

そんな真人に理樹は、

理樹「・・・真人、何か悪いものでも食べたの?」

と尋ねてしまっていた。

真人「んなわけねーだろ!」

真人もとりあえず突っ込んでおいた。

理樹「というわけだから、僕、一旦学校に行って忘れ物を取りにいくね」

真人「おう。気をつけてな。オレはここで腹筋しながら待ってるからよ」

理樹「いや、腹筋はしなくていいから宿題を・・・」

真人「1、2、3、・・・」

理樹の言葉を聞かずに、真人は腹筋を始めていた。

なので、理樹は、そんな真人をほったらかしにしておいて、とりあえず

寮の部屋を出た。



理樹「えっと確かここに・・・」

自分の教室に着いた理樹は、現在辞書を探している最中である。

もう完全下校時刻は過ぎているため、ここで風紀委員や先生に見つかれば、

即仕打ちが来るだろう。

そんな最悪な事態を回避する為にも、即急に辞書を見つけなければ

ならなかった。

そして、しばらく時間が経ち、

理樹「あった!」

ようやっと辞書は見つかった。

理樹「これで英語の宿題はなんとかなるかな」

そう呟いたその時だった。

(ガラッ)

理樹「!」

隣の教室から、教室の扉が開かれる音がした。

理樹「・・・誰だろう」

不思議に思った理樹は、自分の教室から出て、廊下へ出る。

隣の教室まで足音を立てないようにそっと近づく。

そして、後ろのドアをそっと開けた。

そして、そこにいたのは。

理樹「・・・あれ?もしかして」

そこにいたのは・・・。

佐々美「あなたは・・・直枝さん?」

佐々美だった。



恭介「あれ?理樹は?」

いつものように理樹の部屋にやってきた恭介は、理樹がいないことに

気づいた。

謙吾「真人・・・理樹はと聞いているのだが」

真人「1123、1124・・・」

鈴「話を聞け、ぼけー!」

(ゲシッ)

相変わらず鈴のハイキックが、真人の頭を直撃した。

真人「いって〜。理樹なら、辞書を忘れたとか言って、学校に戻ったぞ」

鈴「ああ。私が教えたあの辞書は、やっぱり理樹のだったのか」

謙吾「なら、理樹本人に渡してやってもよかっただろうに・・・」

謙吾が一人ぼやく。

恭介「なら、今日のミッションは決定だな」

謙吾・真人・鈴「え?」

恭介の突然の一言に、他の3人はあっけに取られて間抜けな声を出してしまう。

謙吾「何をするんだ?」

謙吾が尋ねると、とたんに恭介の表情が笑顔になる。

恭介「発表しよう。今日のミッションは・・・!」

そのミッションが発表された時、この3人はもの凄いヤル気に満ちたそうだ。



理樹「笹瀬川さんも忘れ物?」

佐々美「ええ。私としたことが、教室にノートを置いてきてしまいましたの」

佐々美と理樹は、現在廊下を歩いているところだ。

誰かに見つかるとまずいので、慎重に歩いていた。

と、そんな時だった。

(ブーブー)

今日何度目か分からない携帯の着信音が鳴った。

ただし今回は、マナーモードに設定してあった為に、音は鳴らない。

佐々美「な、なんですの?」

その音が、隣にいた佐々美にも聞こえたのか、理樹にそう尋ねていた。

理樹「メールみたい。恭介からだ」

そのメールの内容は、こんな感じだった。

『タイトル:緊急連絡

   本文:真人から、理樹が今学校にいることを聞いた。

      そこで思い出したことが一つある。

      最近話題のことなんだが、この学校は、夜になると、

      自殺した人の幽霊が現れるらしい。 

      しかも、一人ではなく、多人数だ。

      何人なのかは分からない。

      だが、くれぐれも気をつけてくれ。

      では、健闘を祈る。

      恭介』

理樹「ゆ、幽霊?」

佐々美「も、もしかして、あの幽霊の噂、本当でしたの?」

理樹「笹瀬川さんも知ってるの?」

佐々美「ええ」

話を聞くと、その幽霊の噂は、ここ最近話題となっているらしい。

昔、この学校で仲良し組の8人がいた。

彼らは幼馴染で、いつも一緒に遊んでいた。

ところが、メンバーの1人が交通事故に遭ってしまい、亡くなってしまった。

その1人が死んだことをきっかけに、残りの7人も、学校で集団自殺を図ったというのだ。

そして、その幽霊が、ここ最近になって現れだしているとのことだ。

佐々美「最近、ソフトボール部でも話題になってましたの」

理樹「そうなんだ。僕は今まで知らなかったな〜」

そう言うと、再び理樹と佐々美の2人は、寮に戻るために歩き出した。

途中で散々な目に遭うとは知らずに・・・。



理樹「で、これからどうしようか?」

佐々美「どうするもなにも、このまま寮に戻るだけではないんですの?」

理樹「それもそうなんだけど・・・何と言うか、恭介がこういうメールを送ってくる時って」

そこまで言うと、一旦息継ぎをして、

理樹「絶対に何かを企んでる時なんだよね」

と、一気に言った。

佐々美「・・・確かに、棗先輩ならありえない話でもありませんわね。でも、さすがにこんな

    夜中だと、風紀委員とかに見つかる可能性もありますし、自粛されるのでは?」

理樹「いや、それはないと思うよ・・・」

理樹はそう言うなり、小さな溜め息をついた。

恭介が聞いていたら、間違いなく口元をゆがませていることだろう。

佐々美「だとしたらなおさら、早めに寮に戻ったほうがよろしいのでは?」

理樹「それもそうだね」

理樹と佐々美が、寮へ戻る為に向けられた第1歩を踏んだその時だった。

佳奈多「そこに誰かいるの!?」

という、風紀委員モードの佳奈多の声が聞こえてきた。

理樹「佳奈多さんの声だ」

佐々美「ということは・・・もう風紀委員に見つかったということですわね」

理樹「そういうことになるね」

佐々美「そういうことになるねって・・・何でそこまで冷静にいられるんですの!?」

理樹の態度が気に入らなかったのか、佐々美は更に追求をする。

理樹「いや、だって・・・こんなこと日常茶飯事だし」

理樹も理樹で、正直に答えた。

理樹「って、こんなところにいる場合じゃないよ!」

佐々美「へ?・・・って、私の手を掴んでどこへ行こうとしてますの!?」

あまりに突然な出来事に、さすがの佐々美も驚いて大声を挙げてしまう。

このままでは佳奈多に聞こえてしまうのではというような大声で。

理樹「いや、とにかく逃げるんだよ!!」

そんな佐々美に、何故か理樹も大声で返してしまう。

佳奈多「この声は・・・笹瀬川さんに理樹君!?」

佐々美「気づかれた!?」

理樹「大丈夫!多分逃げ切れば気づかれないと思うから」

そういうが否や理樹は、佐々美の手を握って、佳奈多がいる方向とは

反対方向へと走り出した。

佳奈多「!ま、待ちなさい!!」

佳奈多は、理樹たちに追いつこうと走り出す。

しかし、理樹も男なので、佳奈多との距離を序所に伸ばしていく。

ソフトボール部の部長というだけあって、佐々美も走るのには慣れている

らしく、理樹と同じペースを保っていた。

対して佳奈多は、風紀委員の仕事が忙しくなってしまって、幽霊部員状態なっている。

いくら剣道部だったとしても、ここ最近の運動不足から来ているのか、

距離が段々と遠くなっていく。

それは、まるで、彼女の心の中にある不安のように・・・。

佳奈多「ま・・・まちなさい・・・」

段々と声が遠くなっていくのを感じた理樹は、そのまま左にカーブする。

佐々美「直枝さん、あちらの教室なんかどうです?」

理樹「うん、あそこで一旦休もう」

理樹と佐々美は、そのまま扉が開かれていた教室へと入っていった。

そこに遅れて佳奈多が走ってくる音が聞こえてきた。

が、理樹たちがいる教室の前を通り過ぎて、そのまま奥へと行ってしまった。

理樹「・・・いったみたいだね」

佐々美「はぁ〜。いきなり全力疾走したから、もう私へとへとですわ」

理樹「僕もそうみたい・・・」

理樹と佐々美は、先ほどの疲れが今来たかのように、息を切らす。

そんな時、佐々美が何かをふと思いついた。

佐々美「そういえば・・・この教室ってどこの教室ですの?」

理樹「え?確か生物実験室だったと思うけど」

その言葉を聞いた瞬間、佐々美の顔色が青くなっていくような気がした。

そんな佐々美の様子を確認した理樹は、

理樹「どうかしたの?笹瀬川さん」

佐々美の顔を覗き込んでそう尋ねた。

佐々美「いえ・・・実は・・・」

理樹「実は・・・?」

佐々美は一旦そこで区切りをつけると、覚悟を決めたように言った。

佐々美「・・・この教室こそが、集団自殺の場、ですの」

理樹「・・・!」

理樹は思わず息を呑む。

そんな理樹の様子を、佐々美は静かに、真っ青な顔で眺める。

まるで、理樹に何かを期待するかの眼差しだ。

理樹「・・・この部屋から出よっか?」

佐々美「ええ。そうしていただけるとありがたいですわ」

理樹と佐々美は、ドアを開けようとする。

しかし。

(ガタガタッ)

理樹「・・・あれ?」

開かない。

開く様子すら見られない。

佐々美「・・・どうして開きませんの?」

何かがおかしい。

理樹はそう思った。

まるで、外部から何かを利用して入り口を閉ざされたような感じがする。

もしやこれは・・・。

理樹「これって、まさか・・・」

佐々美「まさかの・・・」

そして二人は声を揃えて、

理樹・佐々美「幽霊!?」

仲良く大声で叫んだ。



鈴「おい馬鹿兄貴」

恭介「どうした鈴?」

鈴「本当にこれで大丈夫なのか?」

恭介より告げられたミッション。

それは・・・

『リトルバスターズのメンバーの中で、誰が理樹を一番怖がらせることが出来るか?』

だった。

謙吾「しかし、恭介も随分とひどいことをするものだな」

恭介「そうか?このくらいは普通だと思うがな」

恭介達は今、つっかえ棒などを使って、物理実験室の扉を押さえている

ところだった。

真人「さぁ〜て、ここからはオレの筋肉の出番か?」

謙吾「お前は今日一日でどれだけ筋肉って単語を発したんだ?」

謙吾が呆れた感じでそう呟く。

と、そんな時だった。

唯湖「遅くなってすまない、恭介氏」

他のリトルバスターズメンバーもやってきた。

小毬「みんな待った〜?」

ほんわか笑顔で小毬もやってくる。

美魚「恭介さん、話というのは何でしょう?」

どうやら彼女達は、恭介から何をやるかは聞いていなかったようだ。

クドも後ろからパタパタと足音をたててついてきた。

そして、葉留佳もやってきて全員集合。

恭介が話しを始めた。

恭介「今からお前達はこの物理実験室に入ってもらう」

クド「どうしてですか〜?」

恭介「実はだな、かくかくじかじかで・・・」

恭介は、小説だから出来る説明方法で、すべての説明を済ませた。

美魚「なるほど。そういうことだったんですか」

唯湖「さすがだな恭介氏。考えることが伊達ではない」

真人「だろ?オレも恭介から聞いた時は驚いたんだぜ?」

みんながそれぞれ恭介の言葉に感心を抱いたところで、

恭介「では諸君、本題に入ろう」

と、恭介は切り出した。

恭介「では、理樹を一番恐怖に陥れた人が勝利。景品は、理樹と1日ずっと一緒にいられる

   権利だ。異議はないか?」

鈴「ない」

真人「もちろんじゃねぇか」

謙吾「むしろ異議がある人物の顔が見たいな」

小毬「オッケ〜だよ〜」

クド「わふ〜!チャンスなのです〜!!」

唯湖「うむ。なかなか魅力的だな」

美魚「直枝さんにすべての知識を染み込ませてあげます」

みんな、異議はないようだ。

恭介「それじゃあ、ミッションスタートだ!!」

恭介が右手を挙げて高々に宣言した時、

理樹・佐々美「幽霊!?」

という2人の悲鳴が聞こえてきた。

恭介「・・・うまくいってるみたいだな」

鈴「って何でざざぜがわの声まで聞こえるんだ?」

佐々美「さ・さ・せ・が・わ、ですわー!!」

何故かいつものように佐々美が返答してきた。



理樹「う〜ん、何度やっても開かない・・・」

佐々美「困りましたわね・・・これでは、宿題が出来ませんわね」

理樹「いや、そんな場合じゃないと思うけど・・・」

もしかしたら本当に幽霊が出たのかもしれない。

そう思い始める中、理樹はある考えが浮かんでくる。

理樹「(もしかして・・・恭介達の仕業?)」

佐々美「・・・どうかなさいましたの?直枝さん?」

理樹「・・・ちょっと試してみる」

そう言うが否や、理樹は、開かない扉の前に立つ。

そして・・・。

理樹「そこに、いるんだよね?」

佐々美「・・・え?」

理樹「そこに、恭介達は、いるんだよね?」

まるで語りかけるかのように、理樹は言う。

しかし、やはり言葉は返ってこない。

理樹「・・・当然かな?ここで出てきちゃったらミッションも終わっちゃうだろうし」

佐々美「ミッション・・・それに、私は関係してまして?」

理樹「いや、恐らく笹瀬川さんが僕と一緒に行動してたことは予想外のことだと思うけど」

理樹は、まるで推理小説に登場するような名探偵みたく、落ち着いて推理をしていく。

理樹「うん、きっと、これは何かのミッションなんだと思うんだ。決め手は、さっきの

   笹瀬川さんのセリフだったんだけどね」

佐々美「へ?私?」

佐々美は、キョトンとした顔をして理樹を見つめる。

そんな佐々美を見ながら、理樹も答える。

理樹「さっき、笹瀬川さんは自分の名前を訂正するように外に話しかけたよね?」

佐々美「ええ。多分、あれは棗さんだと思うわ」

理樹「そこなんだよ。もし本当に幽霊がいたとしたら、外では誰も話していない。

   当然ながら、鈴の声もまったく聞こえないはずなんだよ。だから、外には多分、

   8人くらいいるんじゃないかな?」

佐々美「は、8人って、直枝さんを除いたリトルバスターズメンバー全員ではなくて?」

理樹「うん。多分だけどね。謙吾もいると思うよ」

佐々美「宮沢様も・・・?」

何故か佐々美の瞳に光が見えたような気がした。

理樹「でもまずは、ここを出るのが最優先だと思うんだけど・・・」

佐々美「そうですわよね・・・」

2人で溜め息をついたその時だった。

(ガタン!)

突如、何かが倒れるような物音が聞こえてきた。

理樹「え?」

後ろを振り向いてみると、そこには、倒れた人体模型が理樹と佐々美を

見ていた。

佐々美「・・・」

佐々美は息を呑み込んでしまった。

理樹も、その人体模型をしばらく眺める。

すると、次の瞬間。

(ガラガラガラガラガラガラ)

先ほどと同じような物音が、理樹と佐々美の周りで聞こえてきた。

そして、理樹と佐々美は辺りを見回す。

一面に広がるのは、7体の人体模型。

その様子は、まるで、集団自殺を図ったかのような形だった。

佐々美「集団自殺・・・まさか!!」

理樹「って、これは恭介達が仕掛けたことだと思うんだけど・・・」

その時。理樹の携帯の着信音が鳴った。

(プルルルル)

それを聞いた理樹は、ポケットから携帯を取り出す。

そこには、こう書いてあった。

『タイトル:なし

   本文:ああ、言っておくが、それはオレ達がやったわけじゃないぞ。

      正真正銘、本物の幽霊だから。

      後はよろしくな!

      んじゃ、理樹には今からミッションを与えよう。

      その幽霊達を無事に成仏するんだ。

      それじゃ、ミッションスタートだ!!

      恭介』

理樹「後はよろしくって・・・やっぱり恭介達は外にいるんじゃないか!!いるならこの扉

   開けてよ!」

恭介「面白いからそのままでいいだろ〜?」

大声で恭介からの返事が返ってきた。

理樹「そういう問題じゃないから!!」

しかし返事はない。

佐々美「・・・どうなってしまいますの?宮沢様、」

佐々美が小さく呟いた。

と、ここでまた不可解な現象が発生する。

(・・・スック)

なんと、倒れていた7体の人体模型が、立ち始めたのだ。

理樹・佐々美「・・・え?」

この様子に理樹と佐々美は、ボー然とするしかなかった。

というより、いきなりすぎて驚くことすら出来なかった。

そうしている内にも、だんだんと幽霊達(もとい、人体模型)が近づいてきている。

佐々美「ど、ど、どういたしますの?このままでは私達・・・」

理樹「大丈夫」

佐々美「・・・へ?」

理樹は、そっと前に歩み寄る。

幽霊達は、そんな理樹に様子を見てか、動きを少し止めた。

理樹「・・・君達は、どうしてこの教室にとどまってるの?」

幽霊「!」

理樹の言葉に、幽霊達が反応を示した。

理樹「君達は、どうして自殺なんか図ったの?」

その言葉に対して、幽霊達の内の一人が答えた。

幽霊「だって・・・だって・・・あいつがいなくなったら・・・オレ達の居場所なんて

   なかったから」

理樹「居場所・・・?」

幽霊「アイツガいたカら、オレ達は生キてコれた」

幽霊「アイツがいたから、過不足なく生きてこれた」

幽霊「アイツと一緒に遊ぶのが、オレ達の生きがいだったんだ」

幽霊「でも、アイツは先に死んでしまった」

幽霊「私達より先に死んでしまった」

幽霊「だから・・・オレ達は、あいつについていこうと思った」

幽霊達による、嘆きの声が聞こえてくる。

しかし、そんな幽霊達の言葉は、確かに的を射ている部分はあった。

だからこそ、理樹の心の中には、怒りがこみ上げられた。

幽霊「だが、オレ達は何故かここにとどまっている」

幽霊「だから、私達は探してるのよ」

幽霊「アイツの元に行く方法を・・・」

理樹「多分、今のままだと天国にはいけないと思うよ」

そこに、理樹が突然介入してきた。

幽霊「!!」

理樹の言葉に、幽霊達が一斉に黙り込んだ。

理樹「・・・君たちは、その人の分まで生きていこうとは思わなかったの?」

幽霊「確かに思ったさ。でも、それだとアイツが寂しがる・・・」

理樹「逆に、君たちが一緒に来ようとしたことを悲しく思ってるんじゃないのかな?」

佐々美「直枝・・・さん?」

いつもは優しい理樹の表情に、怒りがこみ上げられている。

あまりの剣幕に、その場にいる全員が黙り込んでしまう程だった。

理樹「君たちが死んだことで、その人が寂しくなくなるかも知れないけど、

   他の周りの人とかはどう思ったのかを考えたの?・・・考えてないでしょ、きっと。

   そんな人達が、天国に行けるわけがない。生き続けることが出来た人が、ここで

   自ら命を絶つなんて、絶対にあってはならないことだと僕は思うけどね」

幽霊「・・・」

佐々美「直枝さん・・・」

理樹「だから・・・一度反省するべきなんだよ。一度ね」

理樹は、まるで語りかけるように言った。

理樹とて他人事ではなかったからだ。

一度は仲間を失いかけた。

そんな世界があったのだ。

覚えてはいないのかも知れないが、心に刻み込まれているのだ。

幽霊「・・・分かりました」

幽霊「僕達は一度、反省する必要があるみたいです」

幽霊「ありがとうございます。そして、さようなら・・・」

そう言うのと同時。

幽霊達の姿がだんだんと透けていく。

そして、完全に消えてしまった。

理樹「成仏・・・完了なのかな?」

佐々美「ええ、恐らくは・・・」

こうして成仏は終了した。

しかし、生物実験室から抜け出すまでは、後もう少し時間がかかってしまったのは、

別のお話。