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理樹はそば屋にやってきた。

そこにクドがいるかもしれないと思って。

入口の扉をおもいっきり開けると・・・。





『第4話 商店街から学校へ』





(ガラガラ)

クド「いらっしゃいませ〜なのです!」

理樹「え・・・クド?って、何の格好それ!?」

偶然というのは本当に恐ろしいもので、理樹の予感は的中したのである。

しかし、何故かそのクドは、そば屋なのにメイド服を着用していた。

クド「私だけではないのですよ?」

理樹「え?」

クドがそう言うと、奥の方から人が更にぞろぞろと現れてきた。

その顔ぶれは、見たことのある顔ばかりで・・・。

しかも、皆メイド服姿なわけで・・・。

理樹「って、鈴に西園さんに葉留佳さんまで!?こ、これは一体・・・?」

小毬「私もいるよ〜」

唯湖「私もいるぞ」

そう。このそば屋には現在、リトルバスターズ女子メンバー総出演中であった。

しかし、何故こんなことが可能となったのだろうか?

理樹が見た感じだと、店員の人もいそうにはなかった。

理樹「あれ?他の店員さんは?」

つい聞きたくなって、理樹はそう聞いてみた。

すると、その質問にはクドが答えた。

クド「お店の人は皆、私たちの為に店を開けてくれたのです」

理樹「・・・ひょっとして、恭介が?」

鈴「当たりだ」

理樹の呟きに、鈴は間髪入れずに答えた。

そう。すべての原因は恭介にあったのだ。

鈴「あれは30分前のことだ」



恭介「では、全員集まったな」

唯湖「我々女子だけを集めて、何を始める気だ恭介氏?」

現在、リトルバスターズの女子メンバーは、恭介を中心としてあるそば屋にいた。

鈴「馬鹿兄貴、どうして私までこんなことをしなければならないんだ?」

恭介「さっき納得したじゃないか」

鈴「で、でも・・・」

鈴が何故かもじもじする。

そんな様子を見ていた唯湖が、

唯湖「ああ・・・鈴君、可愛いぞ・・・」

と言って鈴に抱きついてきた。

鈴「おわー!離せー!!」

鈴は露骨に嫌がったが、力では唯湖の方が上なので、抜け出すことが出来なかった。

美魚「ところで、話というのは?」

ここで、美魚が話に戻した。

恭介「ああ、そうだったな。では発表する。じゃあ三枝、こっちを持ってくれ」

葉留佳「アイアイサ〜」

いつもは理樹がやっているポジションなのだが、今回は理樹が不在なので、葉留佳が

やることになった。

(シュルルル)

どこから取り出したのか分からない巻物の端っこを持った葉留佳は、一気にそれを引いた。

そして、そこに書いてある言葉を、恭介が無意味なポーズと共に発表する。

恭介「第1回、理樹をメロメロにしてうっはうは!その後はしっぽりむふふと行きたいもの

   ですな大会だぜ!いやっほ〜う!!」

超ご機嫌に読んだ恭介だったが、その一言で一瞬にして周りの視線が痛くなる。

葉留佳「・・・なんですか?これ」

小毬「話がまったく見えないよ〜」

クド「わふ?何だか言ってることと違うのです・・・」

鈴「やるかボケー!!」

美魚「・・・」

唯湖「どういうことだ?恭介氏」

一気に恭介は窮地に追い込まれた。

だが、恭介はまったく動じない。

恭介「ふふふふふ・・・甘いな」

唯湖「どういうことだ?」

再び唯湖が尋ねた。

恭介「今、風紀委員の二木が、理樹のことを気になり始めているとのことだ」

葉留佳「え?お姉ちゃんが?」

恭介「で、だ。二木に理樹は取られたくないだろ?」

鈴「だが、理樹はかなたのことをどう思ってるんだ?」

恭介「理樹も、まんざらではないらしい」

理樹本人が聞いていたら怒るような、本当なのか嘘なのかわからないようなことを、

恭介は口にする。

実際には恋愛感情なんて持っていないのだが。

小毬「それとこのことと、何か関係があるのですか〜?」

恭介「ああ。そこで、今日は理樹のサービスデーにしてみようかと思うのだが、どうだ?」

恭介は皆に同意を求める。

美魚「私は、別に構いませんよ?」

クド「私も賛成なのですー!」

唯湖「うむ。同感だな」

葉留佳「お姉ちゃんにだけは理樹君を取られたくないから、頑張る!」

小毬「私も賛成だよ〜」

5人は賛成の意を見せた。しかし、

鈴「私はいやだ。恥ずかしい」

やはり鈴は否定したので、

恭介「さっきのモンペチの料金をオレが払ってやる」

鈴「やる」

毎度恒例の手を使って鈴を賛成させた。

恭介「では、ミッションスタートだ!」



理樹「なるほど。大体事情は分かったよ」

鈴より事の顛末を聞いた理樹は、どこか神妙な顔もちをする。

葉留佳「どうしたのー?理樹君」

そんな顔を覗き込むように、葉留佳は下から理樹の顔を見た。

理樹「いや・・・恭介、これは何か間違ってると思うよ?」

理樹は、今現在の皆の格好をもう一度凝視する。

何度見ても、そこにいる女子メンバーは皆、メイド服を着ていた。

ここはそば屋なので、明らかに浮いている格好だ。

クド「わふー!そんなに見られると、恥ずかしいのですー!!」

クドは、相変わらず被っている帽子を、顔全体を覆い隠すように下げて、恥ずかしさを

アピールする。

唯湖「ああ・・・クドリャフカ君。何て可愛いんだ」

理樹「そういう来ヶ谷さんも、なかなか可愛いよ」

唯湖「え・・・あ、ありがとう」

どうやら唯湖は、素直に褒められることに慣れていないらしく、理樹が言った言葉に、

いつもの調子で返すことが出来なかった。

小毬「わ〜ゆいちゃん可愛いよ〜」

小毬がほんわかとした表情を見せて、唯湖にとどめの一撃を言う。

唯湖「う・・・」

唯湖は、恥ずかしいあまりに、顔から火が出そうなほど赤くなっていた。

美魚「直枝さん、どうぞお座りください」

そんな中美魚は、動揺の色を一切見せることなく、理樹に接客を始めた。

理樹「あ、うん」

理樹は、ぎこちない返事をしながらも、美魚に進められた席につく。

その席は、ごく普通のカウンター席で、『理樹専用』と書かれた紙が置かれただけの

席だった。

ただ、それもこの店の中の状況を見てみれば、明らかに浮いた存在だ。

理樹「ところで恭介」

恭介「ん?どうした理樹」

理樹「もし他のお客さんとかが来た時は、どうするつもりなの?」

恭介「心配ない。もう外に営業終了の張り紙を張っておいた」

理樹「そんな勝手なことしていいの・・・?」

理樹は、恭介の仕事の早さに感心しつつ、呆れもした。

鈴「ご、ご注文は何にしますか?」

おぼつかない足取りで近づいてきた鈴は、理樹に注文を尋ねる。

そば屋なのだから、普通はメニューを自分で見て、店員に言うものなのだと思うのだが、

もはやそんな常識は、この中では通用しない。

理樹「えっと・・・」

ここで始めて理樹はメニューを見る。

そのメニューに書かれていたものというのは、盛りそば・かけそば・ラーメン・スパゲティ

などなど。

すべて0円だった。

理樹「なんでそば屋なのにラーメンとスパゲティがあるの?それに、最後のは・・・」

理樹はメニューの最後を見て、仰天した。

何故なら、そこにはこう書いてあったからだ。

『メイドさん達による心からのご奉仕 プライスレス』

理樹「何なのこれは!ていうか、何で最後だけ英語!?」

突っ込むところはそこではないと思われる突っ込みを、理樹はあせりながらした。

そんな理樹を見てか、

鈴「は、早く決めろ!」

と、ずっと待たされたままだった鈴が理樹に文句を言ってきた。

理樹「あっご、ごめん!!」

とりあえず理樹は、かけそばを選んだ。

最後のは、何だか少し怖かったので、頼まないことにしておいた。



理樹「ごちそうさま〜。おいしかったよ」

メイド服姿の女の子達に囲まれてそばを食べるという、なかなか他では経験することの

出来ないような事をした理樹は、どこか満足気にそう言った。

唯湖「少年、私たちのメイド服姿を見ながらの食事はどうだった?」

案の上唯湖はそんなことを聞いてきた。

これに対して理樹は、

理樹「う〜ん、なかなか他では味わうことが出来ないような体験をしたような気がする」

と、素直に笑顔で答えた。

唯湖「なるほど。私たちのメイド服姿に心を奪われて、私たちの服なんかを剥いだりして、

   あんなことやこんなことを・・・なんて考えていたのだな、理樹君」

いたずらな表情を見せながら、唯湖はそんなことを言ってきた。

理樹「いやいや、そんなこと思ってないから!!」

鈴「何!理樹は変態だったのか!?」

理樹「だから違うって!!」

鈴が話に割り込んできたことで、更にややこしくなってしまった。

恭介「それより理樹。今日はどうだった?」

恭介が、ここまでの話をすべて断ち切って、理樹に尋ねてきた。

理樹「うん。何というか、楽しかったよ」

理樹は、誰もが疑いようのない笑顔を見せて、そう答えた。

小毬「理樹君が喜んでる〜」

葉留佳「今回のミッションは、成功と考えてもいいデスね」

美魚「・・・そうですね」

鈴「でも、メロメロにはなってないじゃないか」

唯湖「理樹君が楽しかったのなら、それでいいじゃいか」

クド「そうなのですー!リキの笑顔が見れれば、それでいいのですー!!」

鈴「・・・そうだな」

どこか納得のいかない顔をする鈴だったが、ここはとりあえず納得することにした。

恭介「よし!ミッションコンプリートだ!!」

恭介がそう高々に宣言した。



夕方。

いろいろなことが起こった商店街を離れて、一同は現在学校に帰ってきていた。

理樹は、先ほどのそばが効いたのか、夕食時には姿を現さなかった。

それは予想の範疇だったために、そこまで他のメンバーは騒ぐことはなかったが、

突っ込みがいないことは大きかったらしく、謙吾と真人の喧嘩を収めるのに苦労したという。

理樹「う〜ん」

現在理樹は、机に座って何かを考えていた。

理樹「結局、クドが恭介に相談したことってなんだったんだろう?」

そう。クドがしたかったこととは一体何なのかということだ。

鈴の話を聞く所によると、少なくともクドは、あんな格好をしたかったわけではないはず。

理樹「・・・本人に聞いてみた方が早いかな」

そう言うと理樹は、イスから立ち上がり、ドアに手をかける。

理樹「でも、クドは今どこにいるんだろう?」

ここで理樹は考えた。

今、クドがどこにいるのかを考えてはいなかったのだ。

ただ、可能性として高いのは、女子寮。

しかし、理樹は男子だ。

こんな時間に女子寮に入ることは許されない。

理樹「とりあえず、学校内を探してみようかな」

思いとどまっていた足を動かして、理樹は部屋を出た。



理樹「やっぱりいないな〜」

とりあえず食堂に来てみたが、そこには誰にもいなかった。

理樹「当たり前だよね。もう食事の時間はとっくに過ぎてるし・・・ってあれ?」

ここで理樹は何かに気づく。

ふと見ると、そこにはまだ食事をしている女子生徒の姿があった。

理樹「あれは・・・もしかして」

その人物には面識があった。

ピンク色の髪の毛で、大きなビー玉のような髪留めをしていて、腕に『風紀委員』の腕章を

つけているあの少女は・・・。

理樹「佳奈多さん!」

そう。佳奈多だった。

理樹の声に反応した佳奈多は、理樹の方に首を向けた。

佳奈多「・・・あら?理樹君。こんな時間にどうしたの?」

佳奈多はそばを食べていたらしく、トレーには残り汁が入っているお盆がひとつ乗っている。

理樹「佳奈多さんって確かクドのルームメイトだったよね?」

佳奈多「ええ。そうだけど」

理樹「クドって今どこにいるか知ってる?」

理樹は直球に尋ねてみる。

すると佳奈多も、

佳奈多「さぁ・・・知らないわ」

と、直球で返してきた。

理樹「あっ、ところで佳奈多さんはどうしてこんな時間に?」

ここで理樹は、ふと思ったことを口にする。

佳奈多「風紀委員の仕事よ。思ったよりも長引いちゃったのよ」

理樹「こんな時間まで委員会なんて・・・佳奈多さんも大変だね」

理樹は佳奈多にそう言った。

佳奈多「そうでもないわよ。もう慣れたことだし」

佳奈多は、これはさも当然というような感じで答えた。

理樹「・・・あんまり無理はしない方がいいと思うよ。佳奈多さんはたまに頑張りすぎる所

   があるから。それに、佳奈多さんが倒れる所なんて、僕は見たくないしね」

佳奈多「!」

理樹の言葉に、一瞬言葉を詰まらせてしまう佳奈多。

だんだん顔が赤くなる。

佳奈多「う、うるさいわね!あなたにそんなこと言われる筋合いはないわよ!!」

そしてついこんなことを言ってしまう。

理樹「ご、ごめん!」

自分に非がないのに謝る理樹。

理樹「でも・・・本当に無茶しちゃ駄目だよ?」

佳奈多「私の仕事を増やしているあなたが言う言葉?」

理樹「うっ・・・それはそうだけど」

理樹は、的確な指摘に言葉を続けることが出来なかった。

そんな理樹を見かねた佳奈多は、

佳奈多「はぁ」

と短く溜め息をついた。

佳奈多「まぁいいわ。とりあえずその忠告だけは聞いといてあげる」

理樹「うん・・・じゃ、僕はこれで」

それだけを言うと、理樹は食堂から出て行った。

佳奈多「・・・私、もしかしたら・・・」

一人、食堂に取り残された佳奈多は、小さく何かを呟いていた。



理樹「ここにいたのか、クド」

クド「あれ?リキ?どうしましたですか?」

理樹が辿りついた所は、中庭だった。

そこでクドは、ストレルカとヴェルカにエサを与えていた。

理樹「いや、クドが一体何をしたかったのかが気になっちゃってね」

クド「私が・・・したかったことですか?」

理樹「うん。出来ればでいいから、教えてくれないかな?」

クド「う〜ん・・・分かりました。とりあえず、隣をどうぞ」

理樹「あ、うん」

少し顔を赤くして、クドは小さく頷いた。

そして理樹は、そんなクドとストレルカとヴェルカの隣に座る。

クド「実は・・・リキに私の料理を食べて欲しかっただけなのです」

理樹「料理?もしかして、あのそばのこと?」

クド「はい。リキにはいつもお世話になってばかりでしたので、何かお礼をと思って・・・。

   それで恭介さんに相談してみたところ、あんな感じに・・・」

理樹「それは多分、相談相手を間違えたからだと思う(もっとも、誰に相談したとしても、

   恭介はすぐ首突っ込むと思うけど)」

理樹がそう突っ込んだ。

クド「でも、リキが楽しんでくれたので、よかったのですー。ミッションコンプリート

   なのです〜♪」

右手を高くあげて、笑顔を見せ、全身で喜びを示すクド。

その姿は、クドのチャームポイントでもある明るさがとっても出ていた。

理樹「僕の為にあんなことまでやってくれたんだね。ありがと、クド」

クド「わふ〜!褒められたのです〜。ベリーハッピーなのです〜!!」

クドは更に喜ぶ。

しかし、律儀なクドは、他のメンバーのことも決して忘れない。

クド「あっ、他の皆さんも協力してくれたので、きちんとお礼を言って欲しいのです〜」

理樹「うん。分かった」

理樹はクドの言葉に頷いた。

クド「あっ、リキ。折角ですから、少し遊んでいきませんか?」

理樹「フリスビー?でも、ちょっと暗いけど大丈夫かな?」

クド「大丈夫なのです〜。このくらいならまだいけると思います。ノ〜プログレムです」

理樹「・・・そうかもね」

(スクッ)

理樹とクドが立ち上がると同時に、

ストレスカ・ヴェルカ「ワン!!」

ストレルカとヴェルカも反応した。

クド「わふ!ヤル気満々ですね〜!」

理樹「そうみたいだね」

クドは、あらかじめ持っていたフリスビーを右手に持つ。

クド「ではリキは、もう少し向こうに・・・」

理樹「うん、分かった」

クドに言われるように、理樹は少し奥の方へと移動した。

クド「では行きますよ〜、それ〜!」

(ブン!)

クドは、理樹がいる方向へと思いっきりフリスビー投げた。